Beyond Maintenance, Toward the Feeling

メンテナンスの先へ
――巻き心地を求めて

リールはまず分解前に状態を細かく確認し、適切な手順で分解を進めます。
取り外したパーツは材質や特性に合わせて丁寧に洗浄し、後の調整が正確に行えるよう各パーツを最適なコンディションへ整えます。

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ご依頼内容をもとに、分解前の状態を入念に点検します。点検結果は記録し、組み立て時の精度向上に活かします。
分解は複数の精密工具を用い、欠損部品や取付状態を確認しながら丁寧に進めます。

分解したパーツは特性や材質ごとに仕分けます。ボディなど油性汚れの強い部分は、周波数や温度を調整した超音波洗浄(特注ヒーター付)を実施。繊細な小部品は材質に適した洗浄剤を用い、2度洗浄で丁寧に行います。

ギヤの状態を整え、滑らかな回転へ導くために、専用装置を用いた独自の表面処理を行います。
微細な凸凹や加工跡を均一に整えることで、後工程の調整精度と回転フィールを高める下地づくりを行う工程です。

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ギヤ類には特殊表面処理を施します。歯面の微細なバリや加工目、酸化被膜等を取り除き、ミクロレベルで均すことでノイズを低減します。
特殊装置で処理を行うことで、コンパウンドによる研磨やバフ加工とは異なり、ギヤ表面を均一に処理します。新品ギヤは加工精度のばらつきを抑え、使い込まれたギヤは表面微細な傷を修正します。

表面処理を行うことで、後のクリアランス調整を精度を上げ、潤滑剤との相乗効果により、使い出しのギヤノイズ低減巻き心地のピーク長期化部品寿命の延伸などが見込めます。
なお、表面処理によって部品の外観が著しく変化することはありません。高リスクな改造ではございませんので、安心してご利用ください。

リールの巻き心地は、部品精度・クリアランス・潤滑剤の主に三要素で決まります。
なかでも部品精度は個体差が出やすく、同じ機種でも巻き心地が変わる要因となります。
組み付けでは、各部の精度や構造に合わせてクリアランスと潤滑を調整し、最適なバランスへ仕上げます。

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クリアランスの調整は、特注品を含む100分の1ミリ単位のシムを使い、必要に応じてバネ圧を加減しながら行います。
中長期の使用を前提に、潤滑剤が性能を十分に発揮できるよう、最適な“遊び”を探っていきます。

使用するギヤグリスやオイルはすべて自社開発で、機種や状態に合わせて最適な種類を調合し使い分けています。
ベアリング(チューニングベアリング)は国産メーカー品を選定し、自社で検品と回転処理を行ったものを使用しています。

ノイズや巻き重りが残る場合は、ギヤの歯当たり改善と潤滑馴染みを目的に、テンショナー付き電動糸巻き機でプレランニングを行います(お客様のラインは使用しません)。
それでも改善が難しい場合は、原因となる部品の交換を検討します。

組付け直後の巻き感は、内部温度の変化や油膜形成過程によって、わずかに変化し続けます。
組みつけから時間を置いた発送前には、最終検品として巻き心地を再度チェックします。必要であれば、前工程に戻り調整を行います。

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施工前の記録をもとに最終検品を行い、改善度合いとリールの最終状態を確認します。調整がシビアなリールは、ここから分解と再調整を複数回繰り返すこともしばしばあります。

検品後は、施工内容をメンテナンスレポートとしてまとめ、発送時にお送りしています。文面でのご説明に限りはありますが、お預かりのリール1台ごとに状態をご理解いただけるよう心がけています。また、同一の機種・番手のリールを複数お預かりした場合は、レポートに対応する番号を記したラベルを貼付しています。

清掃後のリールは簡易コーティングで仕上げ、1台ずつ二重箱と緩衝材を用いて丁寧に梱包し、発送いたします。なお、荷姿によってはお客様からお送りいただいた外箱を再利用する場合がございますので、あらかじめご了承ください。